2019年5月27日(月)に「ウインクあいち:名古屋」で、5月30 日(木)に「牧野フライス製作所加工技術センター:東京」で「 第一回SYNOVA技術セミナー」が開催され、多くの関係者 が参加しました。まずSYNOVA JAPANの神月代表から「水 ジェットレーザーの紹介」が行われ、引き続いてSYNOVA本 社CEOの Dr. Richerzhagenから「レーザーマイクロジェットに よるダイヤモンド工具加工」の講演が行われました。休憩を 挟み名古屋ではSYNOVA JAPANの髙野上級プロセスエン ジニアにより「加工事例紹介ビデオ」の説明があり、東京で は実機による「加工実演」が行われました。
神月代表「水ジェットレーザーの紹介」の講演要旨
(水ジェットレーザーの歴史) 水ジェットを利用した光誘導技術は古くから知られており、1841年にJ.D. Colladonがジュネーブで講演を行っている。1960年代にはレーザーが発明され、これを水ジェットにて誘導しようとする考え方が出てきたが、量産工業製品に使用できるほどの安定性はなかった。 (LMJ技術) 1993年にローザンヌ連邦工科大学に在籍していたDr. Richerzhagenにより発明され、焦点のない100μm以下の水ジェットレーザーは基本特許として各国で成立している。使用しているレーザーの波長は水への吸収が少ないYAGレーザーの2倍波(532nm)を主に使用している。 (ディスク状液体供給空間) 効果的にレーザーを誘導する層流を得るために、LMJ技術では問題となる熱レンズ効果を回避する「せき止め空間」を開発し、繊細な水ジェットを実現している。 (水ジェットレーザーの特徴) 焦点のない平行ビームにより深く平行な切断が可能なこと、熱影響(クラック、酸化、構造変化など)の少ない加工が可能なこと、溶解物・昇華物の付着のないきれいな表面が得られること、タービンブレードなどの金属面にセラミックコーティングが施されたものや、カーボンファイバーとセラミックの複合材などに使用可能な点が挙げられる。
Dr. Richerzhagen「レーザーマイクロジェットによるダイヤモンド工具加工」の講演要旨
(SYNOVA社の紹介) 1997年創業、従業員90名、ジュネーブ郊外に本社を構え、日本・韓国・インド・米国・中国・ドイツに加工センターがある。 (LMJ技術) 焦点制御が不要で、テーパ形状のない加工が可能なこと、溶解物質の再付着やバリの無いきれいな加工表面が得られること。多結晶ダイヤ(WC&PcBN)、単結晶ダイヤ(HPHT&CVD)、天然ダイヤ、セラミックス、複合材、金属が加工できる。 (ダイヤモンド工具加工に最適な5軸加工機LCS305) 加工領域:φ130x高さ260mm 動的精度3μm、角度精度±0.9 arc second スリムな加工ヘッドで複雑な形状に対応できる。 HSK63ワークホルダーで高い繰り返し精度を実現。 アルミナ、SiC、PCD/WC、タングステンの加工事例を説明した。
SYNOVA JAPANからのお願い
超純水を使用するLMJ技術による金属加工は、金属の匂いがない清浄な加工ができ、スパッタなどの付着物の無いきれいな表面が得られます。クラックや変質層などの熱影響は少なく、バリの無い高品質な加工が可能です。 半導体、セラミック、超硬工具等、具体的な技術課題があれば何でもご相談ください。 サンプルを加工しLMJ技術の可能性を評価できます。経験豊富なプロセスエンジニアによる適切なアドバイスも可能です。 試作品や量産前の立上期間の受託加工も可能です。 よろしくお願い申し上げます。